クロム鉄鉱

下のコスモクロアの拡大図。
緑の中心部には黒色のクロム鉄鉱があります。

コスモクロア輝石

下の石の上側。
緑の濃いコスモクロア輝石が沢山集まった部分があります。
コスモクロア輝石は硬度は６、比重は3.5-3.6、へき開明瞭です。

コスモクロア輝石

下の石の裏側。
黒い部分の中心にはクロム鉄鉱があります。

コスモクロア輝石

Taw Maw Mine, Myitkyina-Mogaung District, Kachin State, Myanmar
３ｃｍ
ミャンマーのコスモクロア輝石です。
左半分がコスモクロア輝石、右半分が細かな針状結晶の角閃石です。

比重の測り方

ひすいかどうか決めるために、比重を測定することは大切です。
比重を測るためには、市販のデジタルスケールを使用し、まず、石の重さを測ります（A g）。
次に、石を糸でつるして水の中に入れ、石の重さだけを測ります（B g）。
この時の重さは、石の体積を占める水の重さと等しくなりますので、　比重＝A／B となります。
私は毎回、糸でつるすのが面倒なので、ビニール袋を細く切って、その上に石を載せて吊るして測っています。ビニール袋の紐は０．１ｇもありませんので、大体の重さを出すには便利です。

ひすいと紛らわしい石(ロディン岩）

ロディン岩は比重も３以上あるため重く、色も白く、表面にきらきらの結晶がみられることもあるため、ひすいと非常に紛らわしいです。
ロディン岩は、透輝石、単斜灰簾石、ぶどう石からなる岩石で、晶洞があり、その中には直方体のぶどう石の結晶が見られる場合があります。またロディン岩は、全体が丸みを帯びていて、緑色の流れたような模様がある場合があります。ひすいがなかなか割れないのに対し、ロディン岩は振動に弱く、たやすく割れます。

ひすいと紛らわしい石(きつね石）

初めてひすいを拾いに行った人が、緑色の入った綺麗な石を拾うと、この石をいっぱい拾って帰ってくることが多いので、きつね石と名付けられました。
きつね石は緑色の入った綺麗な石で、「ニッケル含有珪質変成岩」と「ニッケル・クロム含有白雲母を含む変成岩」の２種類があります。いずれも、ベージュ色の地に緑色の部分が沢山入っています。ニッケル・クロム含有白雲母は鉱物的にも珍しいものです。「ニッケル含有珪質変成岩」は石英、苦灰石などからできている石で、菱苦土石を含む場合もあります。石英中にはニッケルが含有されています。また、たまに黒色鉱物が入っている場合がありますが、これはクロム鉄鉱になります。

ひすいの見分け方

ひすいを見分けるのはなかなか難しく未だに苦労していますが、ひすいの特徴として、以下の点が挙げられます。
（１）　ひすいは緑色と思われていますが、純粋なひすいは白色です。白色の地に緑色やラベンダー色が入っていれば宝石質で最高です。
（２）　ひすいは角ばっています。ひすいは非常に丈夫であるため、海の中でなかなか擦り減りません。
（３）　ひすいは海岸で良く見られる他の白い石と比べて特に重いため、比重が３．１－３，３もあります。
（４）　ひすいは表面がスベスベしていて、ざらついていることはあまりありません。
（５）　ひすいは晶洞の中にぶどう石などの結晶が見られることはありません。
（６）　質の高いひすいの表面には、ひすいの細かなキラキラした結晶が見られます。しかし、結晶が見られないひすいも多いです。

ひすい－ソーダ沸石

新潟県青海町青海海岸
下の写真の拡大。穴の中にはソーダ沸石が沢山見られます。

ひすい

新潟県青海町青海海岸
沸石の抜けた穴を持つひすいです。
穴の中にはまだソーダ沸石の細い針状結晶が見られる良い標本です。

ひすい

新潟県青海町須沢海岸
沸石の抜けた穴を沢山持つひすいです。緑色部は緑色岩。

石英

新潟県青海町青海海岸
Niを含み明るい緑色になった石英をクリソプレーズといいます。
表面は鉄分が付着し褐色の部分もありますが、全体は明るい緑色です。

エッケルマン閃石２

新潟県青海町青海海岸
最初、蛇紋岩（リザード石）かと思いましたが、硬度が高く釘で傷が付きません。
また、ネフライト特有のくすんだ緑色ではなく青緑色をしています。
この色はクロムに起因するため、クロム含有エッケルマン閃石ということになります。
分析ではナトリウムが検出されました。
本ケースではナトリウム角閃石であるエッケルマン閃石が曹長石と共存しています。
この標本のエッケルマン閃石にはキンクバンド構造が無数に見られます。

エッケルマン閃石

下の石の裏側です。

エッケルマン閃石

新潟県糸魚川市青海海岸
９ｃｍ　研磨済

糸魚川地方に見られる珍しい角閃石「エッケルマン閃石」です。最初、蛇紋岩かと思いましたが、磁力がありません。
硬度は５です。Naが検出されました。糸魚川地方のネフライト（透閃石）は少量のNaを含むそうですが、このサンプルは透閃石に特有な成分であるCaが検出されませんでした。
エッケルマン閃石はネフライトと非常に良く似ていますが、青みを帯びた緑色をしているのが特徴です。
ネフライトがくすんだ緑色をしているのに対し、エッケルマン閃石は明るい原色系の青みを帯びた黒緑色をしています。
また、平行に並んだ帯状構造であるキンクバンドが沢山見られるそうです。
エッケルマン閃石はコスモクロア輝石の母岩として知られ、ごく稀に中にコスモクロア輝石が入っていることがあります。